<メッセージ>
これ以上海を汚すな!市民会議 共同代表 織田千代
皆さまこんにちは、私は、福島県の太平洋側にあるいわき市から参りました、これ以上海を汚すな!市民会議(これ海)の織田千代と申します。
福島原発事故に由来する「処理汚染水」が、海洋に放出され、今年の8月ですでに1年が経ち、今は8回目の海洋放出が行われてしまっています。
本当に多くの反対を無視し、漁業者、関係者との約束を反故にして、強行に進められた海洋放出は、今現在もたくさんの矛盾や理不尽さをそのままに進められてしまっていますが
私たちの反対の声は止まず、差し止め訴訟も起こされています。
さて、たった一年前のことですが、みなさん、思い出してください。
いったいなぜ、他の手段ではなく海洋に放出だったのか。
タンクの敷地が足りない、とか安上がりであるとかいう理由も、今や、根拠を失ってきています。取り出したデブリの置き場が必要だから、という理由も、現在の実態を見ればとてもあり得ない理由ではないでしょうか。
そして流されているものにはトリチウムだけではなくストロンチウムや、炭素14などの放射性物質が残っていると言われています。トリチウムの危険性だって、きちんと説明はされていません。
一方でとても心配なのは、何度か作業員が被曝する様な事故が起きているということです。
つい最近もデブリをほんの数グラム取り出すという作業の現場でミスが起こり中断されました。廃炉に欠かせないとされるデブリの取り出しはのっけからつまづいた様子ですが、
その現場の状況や背景など、詳しいところは明らかにならないままです。
あまりの高線量のために短時間づつ交代で行わねばならない作業、昨年から何度か続いている事故は、根本的にこの様な困難さを作業員に強いる状態で行われているのです。
それが改善されない限りまた続いていくかもしれません。
復興のためには廃炉が欠かせない、そのためにデブリの取り出しが必要という言葉を繰り返し、それを納得しろ、とばかり何度も私たちは聞かされています。
しかしその様に危険なデブリの取り出しは本当に可能なのでしょうか、
取り出した後どうするのでしょうか。
廃炉の最終形は語られないまま、闇雲に進めている様にしか見えません。
地元では、魚屋さんが減りスーパーの売り場には他の県で採れた魚が並んでいます。
事故から13年半も経ち、大きな痛手を受け続けながらも、漁業を続けたい、海洋放出に反対を続けていくと話す、地元漁業の現場は重い疲労感が漂っている様に見えます。
海洋放出1年にあたる、この8月24日には岸田総理が地元いわきにやってきて、うまいうまいとお刺身を食べ、県魚連の会長に向かって、海洋放出の件は最後まで責任を持つと話したりしています。
常磐沖は元々本当に美味しい魚が取れる豊かな漁場なのです。
事故前のように素直にうまいと言えない暮らしを住民に押し付けておいて、いったい何を言ってるんだろう、と思います。
放出1年後の今年、心配したほど魚の売り上げに影響がなかった、だから海洋放出は問題ないことだ、という様に論点をずらした形で発表され、そのままテレビや新聞で報道されて一般の人たちに届き、海洋放出は問題ない、という世論が作られていきます。
現場で作業員事故が何度起きていても、海洋放出は問題ないとして突き進む、どんなに大きな地震が起きても、原発の再稼働を着々と進める、老朽化した原発を使い続ける、核のゴミ捨て場は見つからないまま原発政策を復活させる。
南海トラフの巨大地震に対して備えましょう、といいながら、そこにある原発は大丈夫なのかという国民の心配についての情報は出さない、
そのように一貫して国と東電のとてもいびつなやり方が通ってしまってると思います。
人々の平穏な暮らしやその命をさしおいても、進めたいものがある、ということが
とても象徴的に現れています
このやり方で、得をするのは誰なの、という疑問もいつもついて回ります。
もしも放射能の影響が実際に現れる、その様なことになったら、取り返しがつかない、と地元の漁業者も一般の生活者も本当に怯えていますが、その点について触れられることもほとんどありません。
太平洋でつながる島国をはじめ、多くの外国から反対のメッセージも届いています。
そこで共通して言われるのは日本政府、東電の出す情報、説明が不足しているということです。
過酷な原発事故を起こしておいて、さらに事故に由来する放射能を含む水を意図的に、世界中に振り撒いてしまう。それについての十分な説明も、人々の了解も無く、放出を始めてしまったのです。全くあり得ないことです。
海は一体、誰のものでしょう。漁業者だけのものでもない、国や東電のものでもない、まして人間だけのものでもないのです。
私たちが心配していることは、将来にわたる放射能の影響であり、地球環境をこれ以上放射能で汚染させたくない、ということです。
どうか、なんとしても立ち止まってほしい、一刻も早くこの放出をやめてほしい。