2023年8月30日水曜日

マーシャル諸島共和国議会の国会決議

 訳:竹峰誠一郎、振津かつみ*(2023年8月21日) 以下の国会決議は2023年8月にマーシャル諸島で入手し、 関係者のインタビューをふまえ翻訳したものである。 …………………………………………………………………………………………

マーシャル諸島共和国議会、第44回通常国会、2023年 決議第84号

日本が福島原発から太平洋へ放射能汚染水を投棄する決定をしたことに対して重大な懸念を表明し、太平洋に放出するのではなく、より安全な代替処理計画を日本が検討するよう要求する決議。

2011 年、東北で発生した地震と津波で破壊された福島原発から、処理をしても未だ放射能を含む100万トンを超える汚染水を太平洋に投棄する計画を、日本は2021年4月に発表した。

日本は、放射能汚染水の放出を2023年に開始し、およそ30年以上にわたって行おうとしている。

このような行為は海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かすものである。海は食物を与えてくれるだけでなく、われわれの経済の源でもある。マグロをはじめ沿岸と遠洋いずれの漁業にとっても海は極めて重要なものであり、マーシャル諸島も含めて、太平洋諸島の国々の経済を支えるうえで不可欠なものである。

太平洋を核廃棄物のゴミ捨て場にこれ以上するべきではない。

太平洋は、歴史的に、1940年代から20 世紀末まで、米、英、仏によって、核実験場として使われてきた。300回以上の大気圏核実験、さらに水中での核実験によって、とりわけマーシャル諸島共和国と仏領ポリネシアでは、人が住めなくなり、取り戻すことができない長期にわたる被害を地域社会にもたらしている。

マーシャル諸島では、1946年から1958年まで、米国による核実験がビキニ環礁とエニウェトク環礁で67回にわたり行われ、その結果、移住を強いられ、文化が喪失し、土地との結びつきが失われ、生物や環境にも影響を受け、核実験に関連した病気を患い、これらの状況は今も続き、マーシャルの人々は核被害と向きあい続けている。

日本は破壊された福島原発から100万トン以上もの汚染水を太平洋に放出する計画をしているが、実現可能な代替案は存在する。私たちマーシャル諸島国会は、太平洋に投棄するのではなく、それに代わる、より安全な放射能の処理計画を検討するように、日本に強く求める。

以上の事実から、以下を決議する。

マーシャル諸島共和国議会、2023年:第44回通常国会を通じて、太平洋に放射能汚染水を投棄する計画を日本が決定したことに対して、マーシャル諸島共和国の人びとは懸念を表明する。


日本は、放射能汚染水を太平洋に投棄するのではなく、それに代わるより適切な方策を検討するよう求める。
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1. 国会決議第84号は、マーシャル諸島共和国の国会で、2023年3月24日に採択されたものである。 
2. 国会決議第84号は、マーシャル諸島共和国憲法の関連条項及び国会の諸手続規則に沿うものであること確認した。 
従って、2023年3月27日、書記官の前で署名する。 
 
マーシャル諸島国会議長 ケネスA・ケディ 
マーシャル諸島国会書記官 モーレンS・ワタック 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
* 連絡先:竹峰<seiichiro.takemine@meisei-u.ac.jp>,
振津<katsumifuritsu@gmail.com>

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2023年8月29日火曜日

国際民主法律家協会(IADL) が「福島の汚染水放出に反対する決議」を採択

 国際民主法律家協会(International Association of Democratic Lawyers, IADL)が、汚染水の放出撤回を求める決議を出しました。

https://www.jalisa.info/iadl


■決議

https://iadllaw.org/2023/07/iadl-resolution-opposing-fukushima-contaminated-water-release/ (英文)


(Deepl翻訳)


IADL、福島の汚染水放出に反対する決議を採択


IADLは、日本政府と東京電力に対し、福島原発の汚染水を太平洋に放出する計画を直ちに撤回するよう求める。

 

日本政府と東京電力は、2023年夏に福島原発の汚染水を放出する計画を発表した。政府は、汚染水はALPS(Advanced Liquid Processing System)と呼ばれる処理プロセスによって希釈され、安全になると主張している。しかし、このプロセスは汚染水を希釈するだけで、トリチウムを除去することはできない。

 

日本では、福島の漁業組合が汚染水の放出に反対している。日本以外では、中国、韓国、その他の太平洋諸国も反対の声を上げている。特に、魚が主食の太平洋諸国(北マリアナ諸島-サイパン、テニアン、ロタ)の人々には深刻な影響を与えるだろう。地元の連邦議員、漁師、市民が反対の声を上げている。

 

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が来日し、2023年7月4日に報告書を発表した。報告書では、排出の考え方や行動は国際的な安全基準に合致しており、人や環境への影響は無視できると断言している。しかし、IAEAは1950年代に米国の「アトムズ・フォー・ピース」キャンペーンの下で設立された原子力推進のための国際機関である。汚染水の放出は、経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約の下で人々の健康に対する権利を侵害するが、IAEAは人々の健康よりも原発推進を優先しようとしている。

 

韓国のユン大統領と日本の岸田首相は、2023年5月に福島に調査団を派遣したが、韓国国民はこれに反対しており、調査は汚染水の放出を許すだけだと宣言している。

 

国際海洋法条約は、加盟国に海洋環境の保全と保護(第192条)、他国への汚染防止措置(第194条)の義務を課している。また、環境影響評価を実施する義務も課せられている(第206条)。しかし、日本政府はこれらの措置をとっていない。

 

国連人権理事会の3人の特別報告者は2021年4月に汚染水放出を非難する声明を発表し、国際民主法律家協会(IADL)も2022年の国連人権理事会で非難声明を発表した。アジア太平洋弁護士連合会(COLAP)は2021年に決議を発表している。

 

NPTとTPNW条約は、核不拡散の代わりに原子力の平和利用を認めている。しかし、原子力発電所は事故で甚大な被害をもたらし、原子力発電所を狙った軍事行動を引き起こす可能性がある。核廃棄物の最終処分方法が定められていない原発は、人類にとって危険である。

 

よってIADLは、日本政府と東京電力に対し、福島原発の汚染水を太平洋に放出する計画を直ちに撤回するよう要求する。

 

IADL理事会採択

 

2023年7月2日、2023年7月5日更新


ライブ配信あります!:8月30日『ALPS処理水』に関する国・東電と住民との説明意見交換会

           

【拡散お願いします!!】

約束を破り、海洋放出を強行した国と東電は何を語るのか!
―福島原発「ALPS処理水」の海洋放出問題―
「県中地区 国・東電住民説明意見交換会」に集まりましょう!

「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」という経産省と福島県漁連との約束を踏みにじり、岸田首相は福島原発ALPS処理水の海洋放出を8月22日に閣議決定し、24日に強行しました。
私たちはこの海洋放出に歯止めをかけ、これ以上地球環境に汚染を広げさせないために、 経産省・東電による説明会と住民との意見交換会を開催し民意を反映するよう6月から働きかけてきました。そしてようやく8月初めに、8月30日開催の返答が経産省担当官からあり、下記のように開催することになりました。

すでに海洋放出は開始されましたが、不誠実極まりない国と東電が何を語るのかを確かめるとともに、住民として海洋放出決定の撤回と放出作業中止を求める声を怒りとともに出していきたいと思います。ぜひとも参加ください。

配信チャンネルはこちら↓

日時  2023年8月30日(水)午後5時30分開場
    6時開会~8時30分終了予定

会場  郡山市労働福祉会館3階大ホール
    (郡山市虎丸町7-7)

内容  ・国・東電からの説明
    ・実行委員会からの質問
    ・会場からの質疑 など

主催  国・東電住民説明、意見交換会 県中地区実行委員会

連絡先 ℡ 090-5355-7388     
   mail   mashy751206@yahoo.co.jp
   Fax  024-983-8134


2023年8月28日月曜日

<放射性廃棄の専門家 ケヴィン・キャンプス氏のメッセージ>

 ◆汚染水の海洋放出反対メッセージ 

  <放射性廃棄の専門家 ケヴィン・キャンプス氏>

 【動画】(12分)

 よそものネットチャンネル

  https://youtu.be/OX1gVUK8Xuw


よそものネット(在外邦人による脱原発ネットワーク)さんが

動画を公開されました。



■Kevin Kamps(ケヴィン・キャンプス)さんの紹介 

https://static1.1.sqspcdn.com/static/f/356082/3549705/1247166144603/Kevin_Kamps_bio.pdf

ミシガン州出身。

Nuclear Information and Resource Service社の放射性廃棄物専門家として8年間勤務。

現在は、原発と紛争のない世界を目指して活動するNGO「ビヨンド・ニュークリア」メンバー。

投棄反対、ウラン鉱山周辺やネバダテラス実験場の風下で暮らす人々を含めた米国やカナダの放射線被害のための活動、原子炉・再処理などへの政府補助金廃止運動、「チェルノブイリ子どもプロジェクト」 「ミシガン州支部設立など積極的な活動を展開している。


■HP

原子力を超えて

https://beyondnuclear.org/about/


■ブログ

Beyond Nuclear International

https://beyondnuclearinternational.org/


国連「人権とビジネス」作業部会  調査後ステートメント  

 


2013.8.4

<福島原発事故関連部分 P78

作業部会は強制労働や搾取的な下請け慣行、安全性を欠く労働条件の事例を、深い憂慮を持ってお聞きしました。

また、災害直後に病院労働者や学校職員が直面した課題についてもお聞きし、被災したあらゆるステークホルダーを救済する必要があることも明らかにしました。

  強制労働に関し、作業部会は東京電力の下請け業者の中に、債務返済のために、原子力発電所の汚染除去、廃炉作業を強制された者がいるという話を聞きました。

 政府と東京電力は、福島第一原子力発電所の事故を受けて清掃活動に携わった人々全員の英雄的努力を認識し、多層下請構造を減らすための具体的な策を講じ、労働者の適切かつ、遡及的な補償を確保するとともに、労働者の健康上の懸念を労災として認めるべきです。

 原子力事故関連の労働安全衛生面の問題に加え、私たちは、東電福島第一原子力発電所からの処理水排出に関する懸念を何度となく耳にしました。私たちは政府に対し、特に水中の核物質の絶対量をはじめ、汚水処理関連のデータをすべて公表することにより、知る権利を充足するよう呼びかけます。

 


2023年8月27日日曜日

理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める声明

                                                                             2023823日 

 

理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める声明

 

822日、政府は関係閣僚等会議にて、ALPS処理汚染水の海洋放出を決定し、24日には放出を開始すると示した。この強引で独裁的な姿勢に言葉を失う。

「関係者の理解なしには如何なる処分もしない」という漁業者との文書約束を反故にし、原発事故被害者である福島県民や国民の声、海でつながる国々の市民たちの声に耳を傾けることなく、立ち止まって議論をすることもなく、何が何でも流そうという姿勢は、著しく民主主義に反する。

岸田首相はこの放出を、「円滑な廃炉と福島の復興のため」と言うが、廃炉がどのような状態をいうのか未だ決っていない。そして漁業者をはじめ、原発事故被害者を再び窮地に追い込む。福島の漁業の決定的な打撃を与えることは確かであるし、消費者も正当な防御行為としての買い控えを行うだろう。購買への迷いや健康被害への不安も発生する。これは風評被害などではなく、実害だ。福島の復興のためになど一つもならず、ただ分断を広げるだけだ。

2018年の経産省エネ庁主催の「説明・公聴会」では、44人中42人がALPS処理汚染水の陸上保管を希望したが反映されず、その後は政府主催の公聴会は開かれていない。市民たちは、県内各地で何度も東電と経産省を招いて話し合いを持ち、東京へも何度も申し入れに出向いた。しかし、一貫して「ご理解を求める」という言葉で、諦めを強いる態度を変えなかった。「一定の理解を得られた」などと、どうしていえるのだろうか。

政府の試算で、当初費用は34億円、88ヶ月の期間とされていた海洋放出だが、現在風評被害対策を含めて約1300億円、30年間と変わっている。これは明らかに国民についた嘘である。提案されている代替案をきちんと検討したのかも疑問である。他にもっと安全な方法があるにも関わらずに、それをやらないのは政府の怠慢と無責任だ。

海は東電のものではない。日本だけのものでもない。過去の核実験で大きな被害を受けた太平洋島しょ国、韓国や中国など、台湾など海外からの大きな批判があり、既に国際問題になっている。更に、海洋放出は、少なくとも30年間続けられる。これは、今生きている世代だけの問題ではない。これは次世代、未来世代につけを回す事であり、未来への暴力と無責任だ。

原発事故で、膨大な量の放射性物質が環境にばらまかれ、今も海に、空に放出されている。それに加えてあえて意図的に環境に放出し、汚染を拡大することは許されない。流そうとしているのは、原発事故により生じた汚染水であり、他の原発が流しているトリチウム水とは決定的に違う。発生責任者であり事故の加害者でもある東京電力が、回収し安全に保管する義務がある。ALPS処理汚染水に含まれる放射性物質は、海水で薄めても放射性物質に変わりなく、その総量は分からないし総量規制もない。

このような問題点を無視し、議論しようともせず、解決しないまま放出を決めたことへ大きな憤りを持つ。

ふるさとの海、日本の海、世界の海を放射能でこれ以上汚してはならない。

あらためて放出に反対し、撤回、中止を求める。


これ以上海を汚すな!市民会議  

共同代表 織田千代 佐藤和良

            連絡先:福島県いわき市常磐下湯長谷町道下53-2 

                  E-mail:koreumikaigi@gmail.com

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2023年8月26日土曜日

ドイツ環境大臣のツイッター(現X)

8月24日、フクイチの汚染水の海洋放出についての、ドイツ環境大臣シュテフィ・レムケ氏のツイッターです。(8月24日午後4時26分)


「環境大臣として、私はあらゆる放射能の追加的な海洋放出に批判的である。そのような放出は、他の全ての道が遮断されている場合の最後の選択肢としてのみ常に効果を発揮しうるのである。

それゆえ極度の周到さが必要である。すなわちこの種のあらゆる企図は、科学的な根拠に基づいて計画され遂行されなければならない。ただそのようにしてのみ、人間と自然に対する負荷を能う限り少なく保つか、または排除することができるのである。

さらに、手続き・方法は透明でなければならない。現地の人間が決定に参画し、十分な情報を与えられていなければならない。このことを私はすでに4月中旬、札幌で開かれたG7環境大臣会合の際、日本政府に対し要求していた。」



„Als Umweltministerin sehe ich jede zusätzliche Einleitung von Radioaktivität ins Meer äußerst kritisch. Eine solche Einleitung kann immer nur als letzte Option ins Spiel kommen, wenn alle anderen Wege verbaut sind.“ @SteffiLemke #Fukushima 1/3 „Es ist äußerste Sorgfalt geboten: Jedes Vorhaben dieser Art muss wissenschaftlich fundiert geplant und durchgeführt werden. Nur so können Belastungen für Mensch und Natur so gering wie möglich gehalten oder ausgeschlossen werden.“ 2/3 „Außerdem muss das Verfahren transparent sein. Die Menschen vor Ort müssen an den Entscheidungen beteiligt und gut informiert werden. Das hatte ich bereits Mitte April gegenüber der japanischen Regierung während des G7 Umweltministertreffens in Sapporo eingefordert.“ 3/3


炎天下の福島第一原発近くの国道6号交差点付近


 8月24日午前9時すぎ、炎天下の東電福島第一原発近くの国道6号交差点付近。

汚染水海洋放出に抗議する緊急スタンディング。

遠くは神奈川県や千葉県から駆けつけた方もいる。

参加者一人一人が想いをアピール。想いは一つだ。

放出を中止させるまで諦めないぞ!!

「汚染水を流すな!」「国と東電は約束を守れ!」「漁業を守れ!」「子どもを守れ!」「いのちを守れ!」「未来を守れ!」と東電第一原発に向けてシュプレヒコール。国内はもとより海外メディアも多数。(佐藤和良)

動画をアップしました。
https://youtu.be/TLzOEgrYYLk





2023年8月25日金曜日

処理水放出、太平洋島しょ国が怒り 背景に核や戦争、大国の犠牲になってきた歴史 

 24日にも始まる東京電力福島第一原発事故の処理水放出に、マーシャル諸島など太平洋の島しょ国から懸念の声が上がっている。遠く離れた海の向こうの人々が異議を申し立てた背景には、戦前の日本統治や米国の核実験など大国の犠牲になってきた歴史の記憶があるという。現地を訪れている明星大の竹峰誠一郎教授(46)に、住民の思いを尋ねた。

東京新聞(曽田晋太郎、安藤恭子) 2023年8月24日 12時00分

今月中旬に開かれたマーシャル諸島の国会。3月に「福島原発から太平洋への放射能汚染水投棄に重大な懸念を表明」する決議を採択した=マーシャル諸島・マジュロで(竹峰誠一郎さん提供)

今月中旬に開かれたマーシャル諸島の国会。3月に「福島原発から太平洋への放射能汚染水投棄に重大な懸念を表明」する決議を採択した=マーシャル諸島・マジュロで(竹峰誠一郎さん提供)

◆マーシャル諸島訪問の教授「頭ごなしに脅威押し付け」

 竹峰さんは国際社会論が専門。米国による核実験が繰り返されたマーシャル諸島を中心に、国内外の核被害に関する調査研究を続けている。
 
 





13日からマーシャル諸島の首都マジュロに滞在。現地では新聞の発行が週1回しかないため、24日に処理水の海洋放出を始めると決めた日本政府の方針について「まだ限られた人しか知らないだろう」と語る。ただ、「自分たちの領内で処理できないものを太平洋に向かって一方的に流し、頭ごなしに脅威を押し付けるような行為に現地で誰も理解を示す人はいない」と明かす。
竹峰さんによると、2021年4月に日本政府が原発処理水の海洋放出方針を決めた後、マーシャル諸島政府は懸念を表明。日本側に代替策の検討や海洋環境保全のための国際的義務の履行、対話の実施などを求める声明を発表した。

◆核実験の地で反対決議

 今年2月の両国外相会談では、林芳正外相が「人の健康や海洋環境に悪影響を与えるようなことはない」として、海洋放出への理解を求めた。だが3月、マーシャル諸島の国会は「重大な懸念を表明し、より安全な代替処理計画を日本に検討するよう求める」決議を採択。処理水の放出が「海洋資源に大きく依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす」とし、「太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」と訴えた。
 これに対し、日本政府は現地で説得するような行動を活発化させていると竹峰さんは話す。7月、日本政府の担当者が現地で地元市長らを訪問。先週は地元紙に日本大使が海洋放出について説明する記事が載り、唯一の戦争被爆国として「核実験被害を受けたマーシャル諸島の人々の思いは理解している」という趣旨の談話が掲載されたという。

◆元大統領ら、日本の説明「遅い」

竹峰さんは今月21日、国会決議を主導したヒルダ・ハイネ前大統領や閣僚らと面会。最近の日本側の対応について聞くと、「いまさら説明するのは遅い。海洋放出計画を決める前に相談せず、放出開始を決める最終段階になって頭ごなしに説得されても理解はできない」と怒りをあらわにしたという。
 同じオセアニア地域では、北マリアナ諸島の議会でも同様に反対決議が採択されている。竹峰さんは「決議は、マーシャル諸島を含む太平洋の島々がこれまで大国に核実験や核廃棄物処理で好き放題使われてきた歴史を踏まえた訴えだ。島々の人たちは放射性物質の量がたとえ少量であったとしても、日本が自分たちのことを何も考えずに汚染水を太平洋に流す行為が許せないと憤っている。日本にとっては単なる海かもしれないが、島々の人たちにとっては生活の糧であり、汚染水が長期にわたって流され、暮らしの土台が傷つけられる。

ことを危惧している」と解説する。
ヒルダ・ハイネ前大統領(中)から処理水放出への懸念を聞いた竹峰誠一郎さん(左)ら=21日、マーシャル諸島・マジュロで(竹峰誠一郎さん提供)

◆マリアナ諸島から原爆投下機が出撃
 太平洋の島々と日本とは、戦争と核の歴史を通じ、深い関わりがある。
 フィリピンの東、赤道の北に広がる一帯は、かつて「南洋群島」と呼ばれた。1914年からの第一次世界大戦で、日本はドイツ保護領にあったマーシャル諸島を占領。20年に国際連盟から委任統治が認められ、実質的に支配するようになった。

 太平洋戦争中の44年、日本軍との激戦の末にサイパン、テニアン、グアムなどマリアナ諸島を制圧した米軍は、ここから日本本土への長距離爆撃を開始。45年8月、原子爆弾を抱えたB29爆撃機「エノラ・ゲイ」「ボックス・カー」はテニアンの飛行場を飛び立ち、広島、長崎へ向かった。

◆「核の植民地主義」…終戦後は実験場に
 終戦後、マーシャル諸島は核実験場とされた。米国は46〜58年、ビキニ、エニウェトク両環礁で67回の核実験を実施。54年3月のビキニでの水爆「ブラボー」の実験で、マグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員やロンゲラップ環礁の島民らが放射性物質を含む「死の灰」を浴びた。

 軍事評論家の前田哲男さんによると、ロンゲラップでは島民82人が被ばく。頭痛、下痢、かゆみ、目の痛みを訴え、救助船が来たのは50時間以上後だった。「米国のみならず核保有国は、危険な水爆実験を本土でやらなかった。これは『核の植民地主義』。マーシャルの人々は広島、長崎に次ぐヒバクシャにさせられた」と憤る。

◆日本は1980年代に「核のごみ」廃棄計画

 1980年代には日本の低レベル放射性廃棄物を北マリアナ諸島海域に捨てる計画が浮上したが、当時の中曽根康弘政権は国際世論を受け入れる形で断念した。原発処理水の海洋放出について、前田さんは「海は人類共有の財産。『水に流す』などという思想をふりかざすのは日本だけ。中国の反対が目立つが、太平洋の人々の声を聞くべきだ。やがて大きな反感が日本に向かう」と警告する。

 ロンゲラップ島民は米国の安全宣言でいったん帰島したが、がんや甲状腺異常などの健康障害が相次ぎ、85年に再び島を離れた。50年近く島民を取材しているフォトジャーナリストの島田興生さんは、「原発の処理水を流す海の先に住む太平洋の島の人々を想像してほしい」と訴える。

 島田さんによると、20年余り日本の統治が続いたマーシャル諸島には日本語を学んだ人たちがいて親日的。旧日本軍飛行場があった現在のエニウェトク環礁では、44年2月の米軍の攻撃で日本軍は約2600人の戦死者を出し、ほぼ全滅したとされる。従軍していた朝鮮人労働者や基地建設に動員された島民らも亡くなった。

 島田さんがロンゲラップを初めて訪れた74年、64歳の男性ナプタリ・オエミさんが胃がんで亡くなる前、病床で写真を撮らせてもらった。家族から「父は自分が苦しんでいるのは原爆のせいだ。気をつけろと言っていた」と聞いた。その2年前には1歳で被ばくした当時19歳の男性が白血病で死亡した。

◆成長不全や白血病、不妊…「いつも巻き込まれる側」

 島民たちには「放射能」という概念があまりなく、変な毒物という意味合いで「ポイズン」と口にしていた。米国の健康調査は続き、身長が伸びないなどの成長不全や白血病、不妊や流産が増えたと言われる。

 「マーシャルの人たちはいつも大国に巻き込まれる側。米国の核実験で被ばくさせられ、今度は日本が処理水を流そうとしている。かつての死の灰と違い、島の人は健康への影響を神経質に受け止めないかもしれないが、私には同じことが起きているように見えるし、日本の罪は重い」と島田さん。海洋放出への受け止めを聞くために9月、現地に向かうという。来年でブラボー実験から70年だ。

 「第五福竜丸とともに、忘れてはいけないマーシャルの人たちの歴史がある」

◆デスクメモ

 竹峰さんは、核兵器禁止条約が、核実験被害者の支援や環境汚染改善を盛り込んだことにも注目する。米国の「核の傘」に頼る日本は批准を拒むが、核抑止論は核実験被害者の犠牲の上で成り立つ論理だからだ。本来真っ先に参加すべきことをせず、この上まだ国の信用を失うのか。(本)

処理水放出、太平洋島しょ国が怒り 背景に核や戦争、大国の犠牲になってきた歴史 :東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)


ヒルダ・ハイネ前大統領(中)から処理水放出への懸念を聞いた竹峰誠一郎さん(左)ら=21日、マーシャル諸島・マジュロで(竹峰誠一郎さん提供)
 

報道まとめ

 8月23日「漁業者が反対の中で、国と東電の判断で決定したのは遺憾。全責任は国と東電にある。放出されても反対し続ける」 (東京新聞)

 22日、福島県いわき市内で西村康稔経済産業相から処理水の放出決定を伝えられた県漁業協同組合連合会の野崎哲会長(69)は厳しい表情を崩さなかった。



■原発処理水の海洋放出 野党議員らが抗議 福島第一原発での放出始まる 島根原発のある山陰でも関心高まる 島根県・鳥取県  (日本海テレビ)

8月24日午後1時ごろ、福島第一原発で始まった、原発処理水の海洋放出。放射性物質・トリチウムを含む処理水は大量の海水と混ぜ、トリチウム濃度を安全基準の40分の1未満にして放出される。

トリチウムを含んだ処理水の海洋放出、実は島根原発でも行われている。中国電力は、放出される処理水の濃度は国の安全基準よりも大幅に低い値としている。例えば島根原発2号機が稼働していた2011年、3か月間のトリチウム平均濃度は国の安全基準の「12万分の1」だったという。

こうした中、8月24日、島根原発から30キロ圏内の鳥取県米子市では―。

原発処理水の海洋放出 野党議員らが抗議 福島第一原発での放出始まる 島根原発のある山陰でも関心高まる 島根県・鳥取県 (msn.com)


■当事者なのに傍観者では…「政府任せ」の東電社長、漁業者に会ったのは処理水放出の当日 (東京新聞)

反対の声の中、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が24日に始まった。「岸田首相や西村経済産業相が前面に立ち、一定の理解をいただいたということで放水に至った」。東電の小早川智明社長はこの日も、政府任せの姿勢に終始した。事故収束の節目となった日の東電幹部らの言葉からは、事故当事者としての責任感は伝わってこなかった。

当事者なのに傍観者では…「政府任せ」の東電社長、漁業者に会ったのは処理水放出の当日 (msn.com)

いわき放射能市民測定室 たらちね海洋調査

 8月23日午前、いわき放射能市民測定室 たらちね海洋調査に同行。福島第一原発沖合で、海洋放出前日の、大切な海水を採水。今日は、波のうねりがすごい。

放出口は、海底トンネルで沖合1キロ。写真の黄色いブイのあたりか。
ふるさとの海、日本の海、世界の海を放射能でこれ以上汚してはならない。汚染水を海に流すな!
                                    (佐藤和良)





処理水海洋放出“差し止め”求め提訴へ 漁業者や市民

 

処理水海洋放出“差し止め”求め提訴へ 漁業者や市民【処理水 福島の葛藤】

配信






テレビユー福島

処理水海洋放出“差し止め”求め提訴へ 漁業者や市民【処理水 福島の葛藤】(テレビユー福島) - Yahoo!ニュース

ハドソン川への放射性物質投棄はもうない: ホーチュルNY州知事が禁止令に署名

 ニューヨーク在住でこれ海に連帯してくださるIさんも、この法案可決に向けてご尽力されたとのこと。ぜひご一読ください。


ハドソン川への放射性物質投棄はもうない: ホーチュルNY州知事が禁止令に署名
キャシー・ホーチュル州知事は金曜日、ハドソン川への放射性廃棄物の投棄を禁止する "Save the Hudson "法案に署名した。

ハドソン川で唯一の原子力発電所であるインディアン・ポイント・エネルギー・センターは、廃止措置中である。2月、原発の所有者であるホルテック・インターナショナル社は、この夏から100万ガロン以上の放射性汚染水をまとめて川に投棄すると発表した。

この発表は、すでに連邦政府のスーパーファンド・サイトとなっているハドソン川をゴミ捨て場として使用することへの健康と経済的懸念を理由に、代替案を求める周辺地域社会からの数ヶ月にわたる反発を引き起こした。ホルテックは8月の予定を延期したものの、今週初めにGothamistに語ったところによると、9月下旬か10月上旬に実施する予定だという。この法律は、この計画的な排出を事実上阻止するものである。

「地域社会は、ハドソン川を放射性廃棄物の投棄場として利用することは容認できないと、はっきりと声を上げています」と、地元の擁護団体リバーキーパーのトレーシー・ブラウン会長は電子メールで書いている。

ゴッサミストが以前報じたように、問題の水は木炭と樹脂で処理・濾過され、金属や塩化物を除去している。しかし、それでもまだ低レベルのトリチウムが含まれている。トリチウムは水素の放射性形態であり、核分裂の副産物である。両者は化学的に非常に似ているため、水からトリチウムを抽出することはできない。

インディアン・ポイント周辺地域を代表し、法案を提出した州議会議員のダナ・レーベンバーグ氏は、「学べば学ぶほど、これが正しい行動であり、環境を保護するためのより良い方法を考え出す必要があることがわかる」と語った。「このまま前進し続けることはできない。」

ホルテック社はゴッサミスト誌に対し、"セーブ・ザ・ハドソン "法は連邦法の先取りとなる可能性が高く、訴訟を起こす必要があると語った。原子力発電所とその活動は通常、原子力規制委員会を通じて連邦政府の権限下にある。

金曜日に同社は、ホーチュルが法案に署名したことに「失望した」と述べた。
「この法案は連邦法の適用除外であり、監視、処理、処理された水の排出は、環境や公衆の健康と安全に影響を与えないと確信しています」と広報担当のパトリック・オブライエンはEメールで述べた。「当面は、廃止措置のマイルストーンとプロジェクト全体のスケジュールへの影響を評価することになります」。

レーベンバーグ氏は、連邦規制やNRC、あるいはホルテック社や他の反対派による訴訟によって、この法律が回避されることはないと確信している。彼女によれば、放射性物質の排出に関する権限を州が持つことを認めた判例があるという。

原子力規制委員会は、ニューヨーク州を「協定州」とみなしている。つまり、NRCが監督するはずの国境内の核物質の使用について、州が責任を負うということである。

「放射性廃棄物の排出が経済に悪影響を及ぼすのであれば、州はそれに対して発言権を持つことができます。「ハドソン川への放射性廃棄物の投棄によって、ハドソン川の経済的活力が脅かされている。
次回のインディアンポイント廃炉委員会は9月21日午後6時から開催される。(DeepL翻訳で翻訳しました。)