声明
「ALPS処理汚染水の海洋投棄を即時中止し、 デブリ取り出しと非現実的な中長期ロードマップを見直し、 福島第一原子力発電所の「廃炉」のあり方を 公開・透明な場で検討するべきである」
2023年8月からALPS処理水(トリチウム以外の放射性物質を含む汚染水)の海洋放出(以下、ALPS処理汚染水の海洋投棄とする)が開始された。現在の計画は、長期間にわたって液体放射性廃棄物を海洋投棄するものに他ならない。政府は、燃料デブリの取り出しや、原発事故発
生後30~40年で福島第一原発の廃炉を完了することを海洋放出の理由にあげている。ところが、その福島第一原発には何をもって廃炉完了とするのかという基準すら決まっておらず、廃炉計画には全く現実性がない。ALPS処理汚染水の海洋投棄には道理も必要性もない。
政府および東京電力は、「関係者の理解なくしていかなる処分も行わない」と福島県漁連に書面で約束していた。その約束を反故にし、多くの反対を強引に押し切るかたちで海洋投棄が開始された。海洋投棄開始には直前のプロセスにも大きな問題があった。本来、政府・東京電力は、海洋投棄の前に「年間放出計画」を関係者に丁寧に説明し、理解を得る必要があった。ところが、政府・東京電力は、「年間放出計画」を一方的に公表しただけで、その2日後には海洋投棄を始めてしまった。政府・東京電力は関係者との間の合意形成を全く行わなかった。
ALPS処理汚染水投棄開始2ヶ月後の2023年10月25日には、増設ALPSで、配管の洗浄作業を行っていた複数の作業員が高濃度の放射能を含む洗浄廃液をかぶり被ばくするという事故が発生した。東京電力の説明は不十分で、いまだに不明な点が残されている。ALPS等による汚染水処理の現場で浮き彫りとなったのは、設備が安全に設計されているのか、安全な作業手順が確立しているのか、原子力規制委員会に東京電力を監視し、指導する力量があるのか、といった根本的な疑問である。これらはALPS処理の根幹にかかわる。
ALPS処理汚染水の海洋投棄を直ちに中止したうえで、ALPS等の設備で大量の汚染水を確実に処理することができるのか、長期間におよぶ使用、運用が本当に安全にできるのか、改めて検証する必要がある。
2.放射能汚染の継続と求められる政府・東京電力の対応
3.直ちに中長期ロードマップの見直しをすべきである
(2.3.の本文は,上記のページをご覧ください)