2023年6月12日月曜日

「国連特別報告者の声明」と「国連人権理事会でのスピーチ」

国連特別報告者声明 (グリーンピース仮訳)

日本は福島(原発)災害の影響による人権侵害の解決に

 一層努力を』

ジュネーブ(2021311日)

 国連の専門家らが本日、日本の福島第一原子力発電所に溜まり続けている汚染水が環境と人権に対して大きなリスクとなっているとして、太平洋への放出に関するいかなる決定も容認できる解決策にはなりえないと述べました。

 「悲劇的な災害から10年を経て、多くの人々が、身体的および精神的健康、くらし、暮らしの質に影響を与える深刻な被害に苦しんでいる」と専門家らが述べています。

 「私たちは、もたらされたものに対して、それを克服しようとする日本の当局の相当の努力を目にしてきたが、やるべきことはまだある。日本の対応は、人権に対する義務を完全に果たす必要がある」

 国連の独立した専門家は、汚染水を太平洋に流すことは、将来的なリスクにさらされる内外の子どもたちに対してを含め、人権保護にとって失策となるだろうと述べています。「放射能の主な発生源は、福島第一原発の3基の原子炉にある溶けた核燃料、コリウムである。それが原因で、敷地内に流入してくる地下水が汚染水になってしまうのである」と専門家は述べています。

専門家は、以下のように述べています。4万人以上の福島県民がいまだ避難民としており、しかし政府はこうした人々を国内避難民(IDP】として認めていない。この数字には、公式に避難地域として指定されていない地域からの、いわゆる自主避難者も含まれている。その結果、IDPに対する経済、住宅、医療、その他の支援が必要なレベルで提供されていない。多くの避難者は、安全ではない地域に戻ることを強いられていると感じている。

「国内避難民の日々の苦悩は、政府が、避難指示の解除、社会保障の提供、健康状態の定期的なモニタリングなどに関して政府の対策の中心にあるべきです」

「私たちは、日本には、安全上のリスクや被ばく、特に子どもやその他の弱者グループの被ばくを防止する継続的な義務があることを想起する。子どもたちは放射線に対してより感受性が高く、特定の組織の放射線に関連したがんになるより高いリスクを有している。また、成人に比べて外部・内部被ばくをより多く経験する傾向がある」と専門家らは述べました。

 「汚染水のリスクやその処分の影響が不透明であることや、意思決定プロセスに市民が参画していないことは、被害者の失望に拍車をかけている。提案されている水の処分についての協議に、地元のコミュニティや市民社会組織による意味のある関与がない」と専門家は述べています。

「私たちは、日本の当局に対し、国際的な人権擁護義務に従い、リスクを防止し、子どもを含む被災者を被ばく被害から守るため、より一層努力することを求める」

 「私たちは、利用可能な最善の科学的証拠に従うこと、決定の透明性を確保すること、市民の意見を求めることが、災害の深刻な重荷に対処するための最良の指針となると信じている」と述べています。

国連の独立の専門家らは、福島原発事故がもたらしたものについての懸念を、以下のコミュニケーションレターで日本政府当局に伝えています。

JPN 1/2020 of 20.04.2020: JPN 6/2018 of 05.09.2018: JPN 5/2018 of 28.06.2018: JPN 2/2017 of 20.03.2017

 

*特別報告者は、人権理事会の「特別手続き」の一部です。国連人権システム上の独立した専門家による枠組みである 「特別手続き」 は、特定の国の状況や世界のすべての地域におけるテーマ別の問題に取り組む、独立した事実調査・監視メカニズムの総称です。特別手続の専門家が自発的に活動しており、国連職員ではなく、報酬もありません。いかなる政府や組織からも独立しており、個人の立場で活動しています。

原文:https://www.ohchr.org/EN/NewsEvents/Pages/DisplayNews.aspx?NewsID=26882&LangID=E

*原文はこちら  

*グリーンピース・ジャパンによる仮訳はこちら

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 ★第46回国連人権理事会で、片岡輝美さん(これ以上海を汚すな!市民会議)がスピーチしました。

こちらのUN WEB TVからご覧になれます。

【00:18 チャプター 12International Association of Democratic Lawyers (IADL), Ms. Terumi Kataoka
スピーチ原稿(日本語)はこちら