2023年10月3日火曜日

函館市議会の意見書【ALPS処理水の海洋放出をただちに中止すると共に処理水削減の抜本的な対策を求める意見書 】

 令和5年 

 第3回市議会定例会 意見書案第3号 

【ALPS処理水の海洋放出をただちに中止すると共に処理水削減の

                             抜本的な対策を求める意見書】

 上記の意見書案を函館市議会会議規則第13条第1項の規定により提出します。 

 令和5年9月13日提出 

 函館市議会議長 吉 田 崇 仁 様 

 提出者 函館市議会議員 富 山 悦 子 

 同 同 市 戸 ゆたか 

 同 同 紺 谷 克 孝 


ALPS処理水の海洋放出をただちに中止すると共に処理水削減の

  抜本的な対策を求める意見書 

 

8月 2 2日に岸田首相は、関係閣僚会議を開き、ALPS処理水の海洋放出を8月 2 4日午後1時から実施しました。ALPS処理水は、東京電力福島第一原発事故によって発生し続けている放射能汚染水を、「多核種除去設備」(ALPS)によって処理した水のことであるが、処理後の水にもトリチウムをはじめとした核物質が含まれています。


岸田首相は、このALPS処理水を今後 3 0年にもわたって海洋に放出することを、漁業者らの反対の声を無視して実施しました。 

かつて政府と東電は、漁業者らに対して「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」との約束を漁業者と交わしたが、この約束を反故にして、放出時期を「 2023年の春から夏ごろ」と表明、海洋放出に向けた準備工事を進めてきました。岸田首相は8月 2 1日に漁業関係者と面会し、その場でも漁業関係者は「海洋放出に反対であることはいささかも変わらない」と述べたが、「一定の理解を得たと判断した」として海洋放出をおこないました。 

政府と東電は、廃炉を進めるためにALPS処理水の海洋放出は先送りできない「待ったなし」の課題というが、いま優先して取り組むべきは汚染水をこれ以上増やさない地下水流入・汚染水削減の抜本的対策です。ここに着手しなければ、汚染水は増え続けます。このことについては、令和5年8月中核市議会議長会でも要望しています。 

福島第一原発事故から 1 2年が経過した今も被害は続いています。いまだ多くの人びとが故郷へ戻れず、被害者への補償も十分に行われていません。 

また農林水産業、観光業など生業を取り戻す懸命の努力が続けられているが、復興からはほど遠く、とりわけ漁業の水揚げ量は原発事故前の2割にとどまっています。今も続く原発事故被害から目を背け、ALPS処理水の海洋放出を強行し、地元漁業の復興を阻害することは断じて許されません。 


よって政府は、ただちにALPS処理水の海洋放出を中止すると共に処理水削減の抜本的な対策を求めます。

以上、地方自治法第99条に基づき提出いたします。 

 

令和5年9月 日 

函館市議会議長 吉 田 崇 仁


■意見書PDF版